60歳を過ぎて給与が下がった場合の支援制度があるって本当?

雇用保険
父さんの従姉
父さんの従姉

給与が多かったら年金が一部カットされる在職老齢年金というのがあるんだというのはわかったよ。

――でも、年金が減る程たくさん給与なんてもらってないし。

父さん
父さん

姉さんは、60歳で定年退職した後、今は同じ会社で契約社員として働いているんだったっけ?

従姉
従姉

そうそう。仕事内容はほとんど変わんないのに、給与だけが下がっちゃったよ。

年金や制度って、なんだろう?

子どもに聞かれて、うまく答えられなかった。

その経験を出発点に、このブログでは、社会保障のしくみを、ひとつずつ、いっしょに見ていきたいと思います。

年金が減る人は一部だけ

まず、従姉さんが話している在職老齢年金という制度があります。

これは、年金を受け取りながら働いている人が、給与と年金の合計額によって年金が一部減額される仕組みです。

ただし、実際に減額される人は全体の約16%。

つまり、ほとんどの60歳超えの人は年金が減るほどの高収入ではないのです。

給与が下がった人への支援制度

そんな人のためにあるのが高年齢雇用継続給付です。

これは、60歳以降も働き続ける人のうち、給与(=賃金)が60歳時点より大きく下がった場合に、雇用保険から給付金が支給される制度です。

給付の種類は2つ

給付名対象内容
高年齢雇用継続基本給付金同じ会社で継続雇用された人賃金が下がった分を一部補填
高年齢再就職給付金再就職した人再就職後の賃金が下がった場合に補填

従姉さんのように「退職後、同じ会社に再雇用された」場合は、高年齢雇用継続基本給付金の対象になる可能性があります。

給与(賃金)の最大10%が支給される

この制度は、60歳以降も働き続けていて、賃金が60歳のときよりも75%未満に下がった人が対象です。

たとえば、60歳のときに月35万円もらっていた人が、再雇用で月20万円になった場合── このように賃金が75%未満に下がった状態で働いていると、今の賃金の最大10%が支給される仕組みです。

つまり月20万円の賃金なら、最大2万円の給付があることになります(実際の支給額は月ごとの賃金に応じて変動します)。

誰が払ってくれるの?

この給付金、会社は負担しません。

雇用保険から、国が支給してくれる制度です。

(申請は会社が代行してくれることもありますが、会社の担当の方がご存知ないことも実際にあるようです。本人がハローワークで手続きすることもできます。)


父さん
父さん

下がった分が全部補填されるわけじゃないんだね。ま、そりゃそうか。

そうですね。でも、こうした制度を知っておくことで、安心して働き続けることができるかもしれませんね。

こちらの公式サイトもおすすめです。

[参考]
厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」

従姉
従姉

さっき「雇用保険」って言ってたね。それって失業保険のことでしょ?

はい。でも、高年齢雇用継続給付のように雇用保険は基本手当(いわゆる失業保険)だけではないのです。そちらについてはいずれ別の機会にお話ししたいと思います。

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