
父さん、実は20歳から入社するまで、国民年金を払っていないまま今に至るんだ。

……え?
年金って、なんだろう?
子どもに聞かれて、うまく答えられなかった。
このシリーズでは、そんな問いの入り口を、ひとつずつやさしく整理しています。
年金って、払わなかったらどうなるの?
前回は、年金って払わなきゃならないの?というお話をしましたね。
「年金って、結局よく分からない。」
「将来のために払うのは分かっているけど、毎月の支払いが結構きついな。」
そんな風に思っている方も多いのではないでしょうか。
特に若いうちは「年金なんてまだ先の話」と考えてしまいがちです。
しかし、もし国民年金を払わないと、私たちの未来にどんな影響があるのでしょうか?
年金を払わなかった場合に起こりうる、3つの大きなリスクに加え、日本年金機構が取る「法的措置」についてもお伝えします。
払わないことで起こるリスク
リスク1:将来受け取る年金額が減ってしまう
国民年金は、原則として20歳から60歳までの40年間すべて支払うことで、満額の年金を受け取ることができます。
もし支払いを忘れたり、滞納したりすると、その期間は「保険料を納付していない期間」とされます。
納付していない期間が長くなるほど、将来受け取る年金額が減ってしまいます。
例えば、1年支払わなかったら、年間に受け取る年金額が約2万円減ってしまうのです。
これが積み重なると、生涯での総額は大きな差になってしまいます。
リスク2:病気やケガで障害を負った時に「障害年金」がもらえない
障害年金とは、病気やケガで生活や仕事に支障が出た場合に受け取れる年金制度です。
もし働けなくなってしまっても、この年金があれば生活を支えることができます。
しかし、障害年金を受け取るためには、一定期間の国民年金保険料を納めていなければなりません。
年金を払っていない期間が長いと、万が一の時にうけとれない可能性があります。
リスク3:一家の働き手が亡くなった時に「遺族年金」がもらえない
もし、一家の大黒柱が若くして亡くなってしまったら…。
残された家族は、大きな悲しみと同時に、経済的な不安を抱えることになります。
そんな時に、残された家族の生活を支えるのが「遺族年金」です。
この遺族年金も、亡くなった人が国民年金保険料をきちんと納めていることが受給の条件となります。
年金を払っていなかったために、残された家族が十分な支援を受けられない事態も起こりうるのです。
さらに重要なリスク:日本年金機構による強制徴収
年金は単なる「貯蓄」ではなく、法律で定められた支払い義務です。
所得があるのに滞納を続けると、以下のような法的措置が取られる可能性があります。
督促状の送付
納付勧奨に応じない場合、延滞金が加算された督促状が届きます。これは本人だけでなく、世帯主や配偶者にも送付されます。
財産の差押え
督促状を無視して支払いをしない場合、最終的に銀行預金や給与、不動産などの財産が差し押さえられます。
年金滞納による強制徴収は実際に執行されているようです。
まとめ
国民年金の保険料を払わないことには、将来受け取る年金額が減るだけでなく、もしもの時の「障害年金」や「遺族年金」がもらえないという大きなリスク、そして財産の差押えという法的リスクも伴います。
支払いが大変な時もあるかもしれませんが、国民年金は、私たち自身と、家族の未来を守るための大切な社会保険です。
強制徴収について詳しく知りたい方は、以下の日本年金機構のページをご覧ください。
[参考]
日本年金機構「日本年金機構の取り組み(国民年金保険料の強制徴収)」
ちなみに、父さんが払っていない国民年金の話はこちら。